
クリック率の方が開封率よりも高くなる原因は? 理由と対策方法をご紹介
Apr 16, 2025メールマーケティングの効果を測定する上で、多くの方が注目するのが「開封率」と「クリック率」です。しかし最近、「クリック率の方が開封率よりも高い」という一見おかしなレポート結果に遭遇したことはありませんか?
実はこの現象、特定のメールツールの不具合ではなく、メールの計測ロジックやユーザーの閲覧環境によって起きる、ある意味"よくあること"なのです。

本記事では、KAJABIを含む多くのメールマーケティングツールで見られるこの現象について、仕組みから考え方、そしてマーケティング施策への活かし方までを解説していきます。開封率とクリック率の数値のズレに悩んでいる方や、正しい指標の読み方を知りたい方に向けて、わかりやすく解説していきます。
開封率のトラッキングの仕組み
開封率 ( Open Rate )は、メールを開いた行動を数値として記録する指標です。
例えば 1,000通のメールを同時に配信して 実際に開封されたのが 100通だった場合、開封率は 10% ということになります。
しかし、この「開封」の計測には一つ大きな前提があります。それは、HTMLメールに埋め込まれている「1ピクセルの透明画像(トラッキングピクセル)」が読み込まれたかどうか、という仕組みです。
つまり、メールが実際に開かれていても、受信者のメール設定で画像が自動表示されない場合、開封としてカウントされないのです。特に企業で使われるメールクライアント(例:Outlookや企業独自のシステム)では、セキュリティの観点から画像の自動読み込みが無効になっていることが多く、このようなケースでは"読まれているのに開封としては計測されない"というズレが生じます。この仕組みを知っておくことで、開封率の数字をどこまで信じるべきか、見直すきっかけになります。

ちなみに、開封率とクリック率の計算方法は以下のように算出されます↓
■ 開封率(Open Rate)
開封率(%)= 開封された数 ÷ 配信数 × 100
例: 1,000通のメールを配信して、300通が開封された場合
→ 開封率 = 300 ÷ 1,000 × 100 = 30%
■ クリック率(Click Rate)
クリック率(%)= リンクがクリックされた数 ÷ 配信数 × 100
例: 1,000通のメールのうち、50件のリンクがクリックされた場合
→ クリック率 = 50 ÷ 1,000 × 100 = 5%
※ 配信失敗(バウンス)によって分母が多少ずれる可能性があります。
何故クリック率の方が高くなるのか
本来、クリックはメールの中にあるリンクをクリックすることで発生するため、「開封された後」に行われるのが自然です。しかし、クリック率の方が高くなるケースが実際に起こり得るのは、開封率の計測が不完全だからです。特に、画像がブロックされた状態でも、メールのテキストやリンクは表示されることがあります。
たとえば、受信者がプレビュー画面やテキストビューでメールを確認し、そこからリンクをクリックした場合、クリックは記録されますが画像が読み込まれていないため、開封はカウントされません。その結果、クリック率が開封率を上回るというレポートになります。これは一見おかしく見えますが、トラッキングロジックを理解すると「十分にあり得る」現象なのです。
メールのプレビュー機能
メールソフトやアプリには「プレビュー機能」が備わっていることが多く、これが開封率とクリック率のギャップを生む大きな原因のひとつです。プレビュー機能とは、メールを実際に開かなくても本文の一部が表示される機能で、特にPC版のOutlookやApple Mailなどで一般的です。このプレビュー画面では画像の読み込みは行われないことが多いため、開封とはカウントされません。
しかし、リンクテキストはそのまま表示され、クリック可能な場合もあるため、リンクだけクリックされる=クリック率がカウントされる、ということが起きます。特にメールの冒頭にリンクを配置している場合、この現象が起きやすくなります。つまり、開封率に反映されなくても「内容を見て、クリックした」ユーザーは確実に存在しているということになります。
開封率はあてにならない?
上述のように、開封率は「1ピクセル画像の読み込み」に依存しているため、メールを読んだかどうかを完全に把握することはできません。特にAppleの「Mail Privacy Protection」や、一部の企業メール環境では、画像の読み込みをブロックしたり、偽装開封を行ったりすることで、開封率の数値に大きな影響を与える場合があります。
そのため、実際には多くのユーザーが内容を見ていても、開封率が異常に低く表示されることがあります。つまり、「開封率が低い=誰も読んでいない」という単純な判断は危険です。あくまで参考値であり、過去のメールと比較したトレンドや傾向を読むための目安として活用するべき指標です。開封率に一喜一憂せず、他の指標と組み合わせて総合的に分析する視点が重要です。
クリック率の方に重点を置く必要性
開封率が技術的な制約によって正確に測定できないことが多い一方、クリック率は比較的正確にユーザーのアクションを捉えることができます。なぜなら、クリック率は実際にリンクをクリックしたかどうかという「明確な行動」がベースになっており、トラッキングが成功すれば高い信頼性を持つためです。
メールの目的が「リンク先への誘導」である場合、クリック率はその成果を最も直接的に反映する指標になります。また、どのリンクがどのくらいクリックされたのかといった「コンテンツ単位の反応」も確認できるため、次回以降のメール設計に活かすヒントが得られます。開封率ばかりを気にするよりも、実際にユーザーがアクションを起こした「クリック」という行動ベースの指標に重点を置くことで、マーケティング施策の改善にもつながります。
マーケティングレポートの考え方
メール配信後に表示されるレポートは、単なる数字の羅列ではなく、「ユーザーがどのように行動したか」を読み解くための大切なヒントです。開封率やクリック率をはじめ、バウンス率や解除率、デバイス別の閲覧データなど、多くの情報が詰まっています。今回のように、クリック率が開封率を上回るという現象が起きた場合でも、それを「異常」として片付けるのではなく、「なぜそうなったのか」を分析する視点を持つことが重要です。
メールの構成やリンクの配置、対象ユーザーのメール環境、配信時間帯など、様々な要素が影響しています。レポートはあくまで「過去のデータ」ですが、それを次回以降の施策に活かすことで、メールマーケティングの成果は大きく変わります。数字の背景にあるユーザーの行動を読み解く力が、レポートを価値あるものに変えるのです。
もしメール配信ツールにABテスト機能があれば、それも活用することで新しい考察ができるはずです
開封率・クリック率の平均値はどのくらい?(業界別ベンチマーク)
メールマーケティングの効果を判断するには、他の業界や平均値との比較が有効です。例えば、Mailchimpのデータによると、業界全体の平均開封率は約21%、クリック率は約2.6%とされています。ただしこれは一般的な平均値であり、業種によって大きく異なります。教育系のメルマガは開封率が高く、EC系はやや低めという傾向があります。自社の数字がこの平均より高ければ「成功している」と言えますし、低い場合は「改善の余地あり」と判断できます。ベンチマークを活用することで、漠然とした不安を避け、より現実的な改善目標を立てることが可能になります。
よくある質問と回答
Q1. なぜ急にクリック率の方が高くなったのでしょうか?
A. メール冒頭にクリック可能なリンクがあった場合、プレビュー画面から直接クリックされることがあります。その際、画像が読み込まれないため「開封」とはカウントされず、「クリック」だけが記録される現象が起きやすくなります。
Q2. 開封率をもっと正確に測る方法はありませんか?
A. 現時点では技術的に限界があります。ユーザーに画像の表示を促すメッセージを加える、またはプレーンテキストメールとの比較テストを行うなどが考えられますが、完璧な測定は困難です。
Q3. メールを改善するには、まず何に注目すべきですか?
A. 件名(開封率に影響)とリンクの配置(クリック率に影響)に注目してABテストを行い、ユーザーの反応が良いパターンを分析・改善していくのが効果的です。
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