
LXPとLMSの違いとは?知っておきたいポイントをわかりやすく解説
May 03, 2025「LXP vs LMS」——まるで学習システム界のバトルロイヤルのように見えるこのテーマですが、実際のところ、両者はどちらも「学び」や「知識の定着」を目的としています。ただし、そのアプローチはまったく異なります。
たとえばLMS(学習管理システム)は、整然としていて管理者主導型。まるでしっかり計画された授業を提供する教授のように、学習者に必要なモジュールを順序立てて届けます。
一方でLXP(ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム)は、もっと自由で学習者中心のガイドのような存在です。学習者一人ひとりに合わせたパーソナライズされたコンテンツを提供する柔軟な学習環境です。
最近「LXPとLMSって何が違うの?」という疑問をよく目にするようになった方も多いかもしれません。安心してください、あなただけではありません。
ここでは、LXPとLMSの具体的な違いと、それぞれがどんな場面で活用できるのかを詳しく見ていきましょう。
LMSとは?
LMS(Learning Management System=学習管理システム)は、学習コースやトレーニングプログラムを作成・管理・追跡するためのプラットフォームです。
これはいわば仮想教室のようなもので、コンテンツの整理、課題の設定、受講者の評価まで、すべてを一か所で行うことができます。
LMSは、伝統的な教育スタイルに近い構造を持っており、管理者によって制御される形式的な学習に最適化されています。特に企業では、従業員に必要な学習を割り当てたり、進捗を追跡してレポートを作成したりする目的で多く利用されています。
ただし、近年のLMSには、こうした「堅い学習」イメージを打破するような、柔軟性の高い機能も備わっているものもあります。
LMSのビジネス活用例
多くの企業がLMSを導入する際、まずは「従業員のスキルアップを図りたい」「業界の最新情報を全社員が把握できるようにしたい」といった、特定の目的からスタートします。
では、「LXP vs LMS」というテーマにおいて、LMSが特に効果を発揮するポイントとは何でしょうか?主に以下のような点が挙げられます。
従業員研修やオンボーディングの効率化
LMSを活用することで、従業員研修や新入社員のオンボーディングを一元管理できるようになります。企業のポリシーから職種ごとのスキル習得まで、新しいチームメンバーに必要な内容を体系的に学ばせることが可能です。
自動的にコースを割り当てることで、毎回個別に進捗を確認する必要がなくなり、効率も大幅にアップします。たとえば、全国に店舗を展開している小売チェーンが、どの店舗でも同じ顧客対応マニュアルを学べるようLMSを導入すれば、全スタッフのサービス品質を均一に保つことができます。
コンプライアンス遵守や資格管理の自動化
業界のルールや法律の変更にすばやく対応するため、コンプライアンスが重要な業種では、LMSによって必須トレーニングを全従業員に自動的に配信し、進捗を追跡することが可能です。
また、資格が必要な業種では、資格の取得状況をLMSで管理し、有効期限が近づいたら自動で更新のリマインダーを送ることもできます。たとえば、医療関連企業では、従業員がHIPAA(医療保険の個人情報保護に関する法律)認証を継続的に保持しているかをLMSで管理し、必要に応じて監査用の記録も保管できます。
継続的な学習を通じてパフォーマンスを向上させる
LMSは、従業員の継続的なスキル開発をサポートするためにも活用できます。業界で求められる特定のスキルや新しいフレームワークに対応したコースを用意することで、日常的な成長を促進できます。
適切なオンライン学習プラットフォームであれば、学習の進捗状況やスキルのギャップを自動的に追跡することができます。さらに優れたLMSなら、学習者一人ひとりに合わせたパーソナライズされた学習パスを提案してくれるでしょう。
たとえば、社内文化の向上やチーム全体の成長を目指す場合、テック業界の企業ではLMSを活用して「ペアプログラミングワークショップ」を導入することができます。これによりチームの協力体制やスキルの底上げが期待できます。
また、フィットネス業界では、LMSを通じて異なるトレーナー同士を組み合わせ、共同でトレーニングプランやコースを作成する仕組みを構築することも可能です。
LXPとは?
LXP(Learning Experience Platform=ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム)は、オンライン研修を提供するためのもう一つのツールですが、LMSと比べて学習者本人によりフォーカスしている点が特徴です。
LXPとLMSを比較した際に、LXPの際立った特徴は、学習者にとってパーソナライズされ、かつ魅力的な体験を提供することにあります。
一方、LMSは形式的で構造がしっかりと決まっているのが一般的です。それに対してLXPは、まるでお気に入りのテレビ番組を観たり、友達と楽しく過ごしながら学んでいるような、より自由でフレンドリーな感覚で学べるのが魅力です。
LXPは、ゲーミフィケーション(ゲーム的要素の導入)やAIによるユーザーごとのコンテンツ推薦機能などを活用して、従来のLMSとは異なるユニークな学習エコシステムを構築します。
LXPのビジネス活用例
LXPとLMSの議論では、「LXP=パーソナライズされた学習」、「LMS=構造化されたトレーニング」という対比がよく語られますが、LXPもビジネスの現場で非常に効果的に活用されています。
LXPを使うことで、学習者一人ひとりに合わせた学習体験を設計し、社員同士のコラボレーションを促進し、自主的な学習の文化を育むことが可能です。
従業員向けにパーソナライズされた学習体験を提供
LXPが登場した最大の理由は、LMSでは難しかったパーソナライズされた学習コンテンツの提供を実現することにあります。
現在のLXPは、AIを活用して、従業員の職種や関心、キャリア目標に応じたコース、ポッドキャスト、記事などをレコメンドしてくれます。
たとえば、マーケティングマネージャーが新たな責任を担おうとしていたり、新しい市場への拡大や採用活動を計画している場合、マーケティング戦略に関するウェビナーなどが自動的に提案されるといった具合です。
コラボレーションと知識共有を促進
LXPは「ソーシャルラーニング(社会的学習)」の強化にも最適です。学習者同士が気づきを共有し、教材を探し、学習仲間を作ることができる「コミュニティ型の学習環境」を前提にコースを設計することで、非常に高い効果が得られます。
ユーザーが自分でコンテンツを作成したり、ディスカッションボードで意見交換することも、こうした協働的な学習環境の中核を担います。
LXPでは、学習者をバラバラにコースに参加させるのではなく、共通の目標に向かって一緒に学習させるという視点が重要です。
たとえば、営業チームであれば、効果的な営業トークや過去の商談で得た知見を共有しながら学習できます。同じLXP内で、ナレッジベース(知識の蓄積場所)を共同で構築すれば、組織としてのノウハウも蓄積され、引き継ぎの課題も解消されていきます。
自主的なスキル開発を後押し
LXPがLMSと大きく異なる点の一つは、学習者自身が主導してスキルを身につけることを後押しする仕組みにあります。
従業員が自分のペースで興味のあるスキルを見つけて学べる環境を整えることで、「学び」は義務ではなく、自発的で前向きな行動になります。
LXPでは、受講者が自分の関心に応じて、受けたいコースや資格講座を選べます。これによって「自分で選んだ」という意識が芽生え、学習へのモチベーションも高まります。
ただし、この仕組みが機能するためには、管理者やマネージャー側の「信頼」が必要です。従業員に自由を与えるということは、それだけ彼らを信じる必要があるということでもあります。
では、LMSとLXPの違いがよりはっきりと見えるポイントを、次に見ていきましょう。
LXP vs LMS:主な違いとは?
LXPとLMSでは、「どのように学習を進めるか」「どのようにトレーニングを提供するか」「最終的にどんな学習体験になるか」といった点において、特徴やアプローチが大きく異なります。
ここでは、LXPとLMSの主な違いを具体的に見ていきましょう。
学習アプローチ:構造的(LMS) vs 柔軟(LXP)
前述の通り、LMSは構造化され、形式的な学習スタイルが特徴です。これは決して悪いことではなく、むしろ「上から下への一方向型」や「従来の教室形式」に近いモデルを好む企業には適しています。
このような構造化された学習では、あらかじめ決められたカリキュラムやタイムラインに沿って、モジュールが順番に提供されます。特にコンプライアンス研修や資格取得のためのコースには最適です。
一方、LXPはもっと柔軟で自律的な学習を志向するチームに向いています。受講者は自分のペースで、必要性や目標に応じて受講したいコースを選びながら学習を進めていくことができます。
このアプローチは、少人数のチームや職種横断的なチーム、あるいはリモートで分散しているチームなど、実にさまざまな組織に適応します。そのため、多くの企業ではLMSとLXPを併用して、用途に応じて学習スタイルを使い分けています。
コンテンツの提供方法:割り当て型(LMS) vs キュレーション型(LXP)
LMSでは、あらかじめ設定されたモジュールを順番に従業員へ割り当てていきます。管理者は、必要なタイミングで特定のコースを指定して提供し、進捗を段階的に追跡します。
この「進捗の可視化」は特に重要で、管理者がフィードバックを与えたり、結果に応じて学習内容を調整する際に非常に役立ちます。
対してLXPは、動画・記事・ポッドキャストなど、多様なソースからコンテンツを収集し、受講者ごとに最適なものを提供します。コンテンツの選定は、マネージャーではなくAIのアルゴリズムが行い、社内外のライブラリから学習者に合った内容を自動的にレコメンドしてくれます。
LXPとLMS、どちらを導入すべきか?
ここまでの比較を通じてわかるのは、「LXPかLMSか」という二者択一の議論が本質ではない、ということです。重要なのは、それぞれをいつ、どのように使うべきか、そして併用すべきタイミングはいつかを見極めることです。
まずは、自社の研修目的を明確に
LMSはもともと、明確な目的があり、必須で、構造的な学習を提供するために使われてきました。たとえば、「新しいルールに全社員が従う必要がある」「フレームワークを完全に理解させたい」「資格取得が必須」といった場合には、LMSの活用が欠かせません。
たとえば、複数の工場を持つ製造業では、LMSを使って労働安全に関する必須コースやOSHA(労働安全衛生)コンプライアンスの受講を割り当て、進捗を管理するのが効果的です。
一方でLXPは、継続的な学習やスキル開発を促進したいときに最適です。特にイノベーションや社員のスキルアップ、キャリア成長を重視する企業には柔軟に対応できるLXPが役立ちます。
たとえば、機械学習の最新トレンドを常に学ばせたいスタートアップ企業では、LXPを使って関連コンテンツを継続的にキュレーションすることで、社員の知識を最新に保つことができます。ただし、業種によってはコンプライアンス対応のためにLMSも併用する必要があります。
社員の「学び方の好み」を理解する
学習を本当に効果的にするには、社員が「どのように学びたいか」に耳を傾けることが大切です。現実として、一部の社員は、LMSのように構造化されたわかりやすい学習環境を好むかもしれません。
一方で、LXPは自発的に学ぶタイプの社員や、短時間で学べるコンテンツ(マイクロラーニング)を好む社員にとっては魅力的な選択肢です。また、どれだけ「社会的な学習(チームとの関わり)」を望んでいるかも重要な判断軸になります。
たとえばマーケティングチームであれば、LXPのようにパーソナライズされたSEOウェビナーや、同僚からのヒントなどを楽しめる可能性が高いです。
どちらか一方に決める前に、まずは社員からのフィードバックを得ることが大切です。場合によっては、社員ごとのニーズに合わせてLMSとLXPを併用するのがベストなケースもあります。
長期的な成長に適したソリューションを選ぶ
法規制の多い業界や、常に一定のスキルが求められる業種では、LMSが有効です。LMSは「予測可能性」や「スケーラビリティ」に優れているため、長期的な運用に向いています。
ただし、環境の変化に迅速に対応したい場合には、LMSだけでは不十分なこともあります。近年、多くの企業がこうした課題に直面しています。
LXPは変化の激しい業界に適しており、社員の柔軟性や好奇心を維持するのに適したツールです。パーソナライズとコラボレーションを軸にすることで、持続可能な学習文化を築くことができます。
そして重要なのは、最近のLMSはLXPのような機能も備えてきているという点です。つまり、「LMSかLXPか」ではなく、「両方の良さをどう活かすか」が、これからの選択基準になります。
結論:KAJABIはLMSとしてもLXP的にも活用できるハイブリッドなプラットフォーム
ここまでLMSとLXPの違いを見てきましたが、実はKAJABIはこの両方の強みを活かせるツールとして非常に優れています。
KAJABIはもともとオンラインコースを管理・販売するためのLMS的な機能(カリキュラム管理、進捗トラッキング、クイズ機能など)を備えていますが、それだけにとどまりません。自動メール配信やパイプライン(ファネル)、タグによるユーザー管理、そして学習者ごとに異なる体験を設計できるパーソナライズ性という点では、LXP的なアプローチも可能です。
たとえば:
- 新規ユーザーには自動で「はじめに見るべきコース」を案内
- 進捗に応じて、次に学ぶべき内容をメールで提案
- コミュニティ機能を活用して、学習者同士が質問・情報共有できる場を提供
- 「クイズの点数が〇〇点以上だった人にだけボーナスコンテンツを表示」といった条件分岐も可能
このように、「構造的な学習」と「柔軟な学習体験」をどちらも実現できるのがKAJABIの魅力です。
特に日本では「LMS=企業向けの堅苦しい研修システム」と思われがちですが、KAJABIなら個人や小規模ビジネスでも、まるでLXPのように学習者との関係性を育みながら、より自然な形で学習体験を提供できます。
LMSとLXPのハイブリッドな運用を目指すなら、KAJABIはまさに最適な選択肢のひとつです。
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