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A/Bテストとは?

A/Bテストとは?初心者にもわかる基本と実践ガイド

お知らせ May 04, 2025

A/Bテストとは、2つのバージョンのウェブページやアプリなどを比較して、どちらのパフォーマンスが優れているかを判断する手法です。感覚や勘に頼るのではなく、実際のデータに基づいて意思決定を行うために活用されます。

たとえば、以下のような要素でA/Bテストを行うことができます:

  • ウェブサイトやアプリのレイアウト
  • メールの件名
  • 商品デザイン
  • CTA(行動を促すボタン)のテキストや色
  • フォームの配置や項目数 など

A/Bテストは「スプリットテスト」とも呼ばれ、複数のバージョンをランダムに異なるユーザーに表示させ、どちらがより効果的かを比較する実験的な手法です。

この手法では、ページや要素の異なるバージョンを同時に訪問者に表示し、どちらがより高い成果(例:クリック率、登録率、購入率など)を生むかを測定します。

つまり、A/Bテストは「どの施策がより成果を生むのか?」を数字で可視化できる、マーケティングやUI/UX改善において欠かせないプロセスです。

なぜA/Bテストは重要なのか?

A/Bテストの最大の利点は、ウェブサイトの最適化における“勘”を排除し、データに基づいた意思決定を可能にすることです。

A/Bテストでは、「A」がコントロール(現在のバージョン)を意味し、「B」はバリエーション(新しく試す変更バージョン)を指します。

両方を同時に異なるユーザーに表示し、どちらがより良い結果(例:クリック数、登録数、売上など)を出すかを比較します。そして、ビジネス指標をより良い方向に動かした方が「勝者(ウィナー)」となります。

このウィナーの要素を実際のページやボタンなどに反映させることで、ウェブサイトのパフォーマンスが向上し、ROI(投資対効果)を高めることができるのです。

コンバージョンの指標はサイトごとに異なる

「どの指標を改善するか」は業種や目的によって異なります。

  • ECサイト(eコマース)であれば、主な指標は「商品の購入数」や「カート追加率」などが重要です。

  • B2Bサイトであれば、「問い合わせ数」や「質の高いリード(見込み顧客)」の獲得がゴールになるでしょう。

  • Eラーニングサイトの場合は、「無料登録者数」「講座の購入率」「動画の完了率」「メール開封率」などが重視されます。
    特にサブスクリプションモデルであれば、「継続率」や「解約率」も重要なKPIになります。

  • メディア系サイトでは、「ページ滞在時間」や「広告クリック率」「記事のシェア数」などが成果指標となることもあります。

A/BテストはCRO(コンバージョン率最適化)の一部

A/Bテストは、より大きなプロセスであるCRO(Conversion Rate Optimization=コンバージョン率最適化)の中核的な手法のひとつです。

A/Bテストを通じて、定量的なデータだけでなく、ユーザーの行動やエンゲージメント、悩み、満足度などの定性的なインサイトも収集できます。たとえば、ページの改修後にユーザーの離脱が減ったか、導線がスムーズになったかなどを把握することができます。

つまり、A/Bテストをしないということは、ビジネスチャンスを逃している可能性があるということです。

なぜA/Bテストを導入すべきなのか?

B2B企業が「質の低いリードばかり集まってしまう」と悩んでいる一方で、ECサイトでは「カート放棄率の高さ」が課題になっています。
また、メディアや出版社では「視聴者のエンゲージメントが低い」という問題が浮上しています。

これらのコンバージョンに関わる課題は、「購入ページでの離脱」や「導線のわかりづらさ」といった共通の原因によって生じている可能性があります。

そこでA/Bテストの出番です。以下に、その導入メリットをご紹介します。

1. ユーザーの「つまずきポイント」を解消できる

訪問者は何かしらの目的を持ってあなたのサイトにやってきます。

  • 商品やサービスの詳細を知りたい
  • 特定の商品を購入したい
  • 情報を収集したい
  • なんとなく閲覧したい

その目的が何であれ、訪問者はサイト上の「障害」に直面することがあります。たとえば:

  • わかりにくい説明文
  • 見つけにくい「購入する」「無料体験する」ボタン
  • 迷いやすいページ構成

こうしたつまずきがあると、ユーザーはゴールに到達できず、離脱やストレスの原因になり、結果的にコンバージョン率が下がってしまいます。

A/Bテストは、ヒートマップやGoogleアナリティクス、Webアンケートなどから得られたユーザーデータを元に、実際の問題箇所を改善する手段として非常に有効です。これは、EC、旅行、SaaS、教育、メディアなど、あらゆる業種に当てはまります。

2. 現在のトラフィックからより高いROIを得られる

経験豊富なマーケターであれば誰もが知っているように、質の高いトラフィックを獲得するには多大なコストがかかります。

A/Bテストは、今すでにあるトラフィックを最大限に活かし、新たな広告費をかけずにコンバージョンを増やすことを可能にします。

実際には、ごく小さな変更(ボタンの文言や色など)が、全体の成果を大きく左右するケースもあります。少ないコストで大きな成果を出せる可能性がある点でも、A/BテストはROI改善に直結します。

3. 離脱率(バウンス率)を改善できる

ウェブサイトのパフォーマンスを測る上で、「バウンス率(直帰率)」は非常に重要な指標です。

この数値が高い理由としては:

  • 選択肢が多すぎる
  • 期待していた内容と違った
  • ナビゲーションがわかりにくい
  • 専門用語が多すぎて理解しにくい

などが考えられます。

サイトごとに目的やターゲットが異なるため、「万能な改善方法」は存在しません。しかし、A/Bテストを使えば、複数のバリエーションを試しながら最適な構成を見つけ出すことができます。

このようにしてユーザー体験を改善することで、訪問者がサイトに長く滞在し、最終的には「購入」や「問い合わせ」などのアクションにつながりやすくなります。

4. 低リスクで変更を試せる

A/Bテストの大きなメリットのひとつは、大がかりなサイトリニューアルをせずに、小さな変更を段階的に試せることです。
これにより、現時点でのコンバージョン率を損なうリスクを大きく下げることができます。

たとえば、商品の説明文を変更したいと考えた場合、いきなり全て書き換えるのではなく、A/Bテストを通じてユーザーの反応を見ながら調整するのが安全です。「新しい説明文にしたら売上が落ちてしまった…」というようなリスクを、事前にテストして防ぐことができるのです。

また、新しい機能を追加する前にもA/Bテストを活用すれば、その機能がユーザーに受け入れられるかどうかを把握できます。

テストせずに変更を加えると、長期的にも短期的にも成果が出るかどうかは不確実ですが、テストを挟むことで結果をより予測可能にできます。

5. 統計的に有意な改善を実現できる

A/Bテストは、直感や感覚に頼らず、完全にデータに基づいて判断できる手法です。そのため、どちらのバージョンが優れているかを、数値的に明確に比較できます。

たとえば、以下のような指標において統計的に有意な改善が見られたかどうかで「勝者(ウィナー)」を判断できます:

  • ページ滞在時間
  • デモ申し込み数
  • カート放棄率
  • クリック率(CTR) など

「何となくこっちのほうが良さそう」ではなく、数字で確信が持てることが、A/Bテストの強みです。

6. サイト全体のリニューアルにも活用できる

A/Bテストは、小さなテキストや色の変更だけでなく、大規模なサイトリニューアルにも活用できます。

たとえば:

  • CTA(行動を促すボタン)の色や文言だけ変える
  • 特定のページ構成を変更してみる
  • サイト全体のデザインを刷新する など

このような大きな判断も、データに基づいて検証してから実施することで、確実な成果を狙うことが可能です。

なお、リニューアルが完成したからといってA/Bテストを終えてはいけません。新しいデザインを公開したあとも、継続的にテストを行い、改善を繰り返すことが重要です。

A/Bテストで試すべき項目とは?

あなたのウェブサイトにおけるコンバージョンファネル(成果につながる導線)は、ビジネスの成否を左右するといっても過言ではありません。

したがって、訪問者の行動や成果に影響を与えるあらゆる要素は、最大限に最適化されるべき対象です。特に、ユーザーの反応に直接影響する以下の要素は、A/Bテストでの検証が推奨されます。

コピー(文章)

1. 見出し・サブ見出し

訪問者が最初に目にするのが、ページの見出し(ヘッドライン)です。この見出しが第一印象を決定づけ、ページを読むか離脱するか、さらには購入に至るかどうかの判断にも直結します。

そのため、短く・わかりやすく・惹きつける文章であることが重要です。

A/Bテストでは、以下のようなバリエーションを試すことができます:

  • 書き方の違う見出し(質問形式、数字入り、感情を動かす言葉など)
  • フォントや太さ、色
  • サブ見出しとの組み合わせ

ツールでは、AI(例:GPT-3.5 Turbo)によってコピー案を自動生成することも可能になっています。

2. 本文(ボディコピー)

ページの本文では、「このページで何が得られるのか」を明確に伝える必要があります。見出しと矛盾がないようにし、ユーザーのニーズに応える内容であることが重要です。

コピー作成時のポイントは以下の通り:

  • 書き方:読者に直接語りかけるトーンで。質問に答えるような構成にし、ユーザーの悩みや欲求に共感する。
  • フォーマット:長文は避け、短い段落や箇条書きを使い、「見やすさ・読みやすさ」を重視する。

A/Bテストでは、本文の構成やトーン、長さのバリエーションを試して、どのスタイルがより効果的かを判断できます。

また、OpenAIのGPT-3.5 Turboなどを活用すれば、ライターやエンジニアの手を借りずに自動でコピーのバリエーションを生成し、テストに反映させることも可能です。

3. メールの件名(サブジェクトライン)

メールの件名は、開封率に直結する非常に重要な要素です。

業界にもよりますが、メールの平均開封率は約25〜47%と言われており、どんなに優れた内容のメールでも、件名次第で見てもらえないリスクがあります。

A/Bテストでは、以下のようなバリエーションを試すことができます:

  • 質問形式 vs 断定的な表現
  • パワーワードの使い方の違い
  • 絵文字あり vs なし
  • 長文 vs 短文
  • フレンドリー vs 堅苦しい言い方

これにより、どのタイプの件名が最も多くの読者に響くかをデータで把握することができます。

デザインとレイアウトのA/Bテスト

「何もかもが重要に見える…」
そんな理由で、ウェブサイトに何を残し、何を削るべきか悩む企業は多いものです。

しかし、A/Bテストを活用すれば、こうした悩みをデータで明確に整理し、最適なデザインと構成を導き出すことができます。

たとえばECサイトの場合

商品ページはコンバージョンに直結する非常に重要なページです。今の時代、ユーザーは購入前に高画質な画像や動画で詳細を確認したいと考えています。

そのため、商品ページのデザインとレイアウトは、徹底的に最適化されている必要があります。

この最適化対象には、以下のような要素が含まれます:

  • 商品画像、キャンペーン画像
  • 商品紹介動画、デモ動画、広告動画
  • 商品名や価格の位置・見せ方
  • CTAボタン(購入する・カートに入れる など)の配置や色

商品ページで意識すべきポイント

  • 明確な情報提供
     どんな商品かを正確かつ分かりやすく伝えるコピー、サイズ表や色の選択肢など、必要な情報がすぐに見つかるように設計しましょう。ごちゃごちゃした情報構成は、購入を妨げます。
  • レビューの掲載
     良いレビューだけでなく、あえて悪いレビューも載せることで信頼性が高まるというデータもあります。
  • シンプルな表現
     装飾的な言い回しは避け、短く・わかりやすく・読みやすいコピーを心がけましょう。
  • 緊急性の演出
     「残り2点」「あと2時間15分で終了」などのカウントダウンやタグを追加することで、今すぐ購入したくなる動機づけにつながります。

ホームページやランディングページも要チェック

デザイン面で最適化すべきは商品ページだけではありません。

  • ホームページ
  • ランディングページ(LP)

も、訪問者の印象を左右する非常に重要なページです。以下のような要素もA/Bテストで検証してみましょう:

  • 余白(ホワイトスペース)を多く取るかどうか
  • 画像より動画を使ったほうが効果的か
  • CTAボタンの位置・数・テキストの種類
  • レイアウトパターン(左右逆配置・縦長LPなど)

ナビゲーションのA/Bテスト

A/Bテストで最適化できるもうひとつの重要な要素が、ウェブサイトのナビゲーションです。
ナビゲーションは、ユーザー体験(UX)を大きく左右する最も重要な部分のひとつです。

まずは、サイト全体の構造と、各ページ同士のリンクのつながり方を明確に設計しましょう。

ナビゲーションはホームページから始まる

ウェブサイトのナビゲーションは、ホームページからスタートします。ホームページは「親ページ」として、他のすべてのページの起点となり、それぞれを行き来するためのハブとなります。

そのため、訪問者が目的の情報に迷わずたどり着ける構造にすることが何より大切です。リンク切れや分かりづらい導線は、離脱や信頼低下の原因になります。

ナビゲーション改善のための具体的なアイデア

  • ユーザーの期待に沿った配置にする
     ナビゲーションバーは、一般的に上部(水平)または左側(垂直)に配置されることが多いため、それに合わせることで「迷わせない設計」ができます。
  • 関連コンテンツを論理的にまとめる
     たとえばECサイトで「イヤホン」や「ヘッドホン」を販売している場合、有線・無線・ワイヤレスイヤホン(AirPodsなど)をバラバラにせず、1つのカテゴリ内で分類して表示することで、ユーザーの負担を軽減できます。
  • 予測可能な構成にする
     訪問者の「次にどこへ進むか」を自然に導けるよう、シンプルで一貫性のある構造にしましょう。

ナビゲーションの最適化で得られる効果

ナビゲーションがわかりやすく整理されたウェブサイトは、ユーザーの目的達成をスムーズにし、ストレスのない快適な体験を提供します。

結果として:

  • コンバージョン率が上がる
  • 訪問者の滞在時間が延びる
  • リピート訪問の可能性が高まる

つまり、A/Bテストを通じてナビゲーションを改善することは、ユーザー体験と売上の両方を向上させる強力な施策になるのです。

フォームのA/Bテスト

フォームは、見込み顧客があなたとつながるための重要な接点です。特に購入フローの一部になっている場合、その役割はさらに大きくなります。

しかし、どのサイトにも万能なフォームというものは存在しません。
ターゲットや業種によって、「最適なフォームの形式」は大きく異なります。

短いフォーム vs 長いフォーム

  • 短く簡潔なフォームが効果的な場合もあれば、
  • あえて質問数を増やした長めのフォームの方が、より質の高いリードが集まるケースもあります。

たとえば:

  • 無料ダウンロードや問い合わせには短めのフォームが適しているかもしれませんが、
  • B2Bのコンサル申し込みなどでは、事前に詳しい情報をもらうことでリードの質を高めることができることもあります。

フォームの最適な形式を見つけるには?

どのスタイルが自分のビジネスやオーディエンスに合っているかを判断するために、以下のような調査ツール・分析手法を活用しましょう:

  • フォーム分析ツール(例:入力完了率・離脱ポイントの可視化)
  • ヒートマップやクリックマップでどこで止まっているのかを見る
  • A/Bテストで入力項目数や順番、ボタンの文言などを変えて比較

これにより、どの部分が離脱ポイントになっているかを把握し、より成果につながるフォームへと改善することが可能になります。

CTA(コール・トゥ・アクション)のA/Bテスト

CTA(Call-to-Action=行動喚起)は、コンバージョンに直結する最も重要なポイントです。

  • 購入を完了するかどうか
  • フォームを送信するかどうか
  • メルマガに登録するかどうか

といった、あらゆる「行動」の最終判断がCTAに集約されています。

CTAは“微調整”が成果に直結する

A/Bテストを使えば、以下のようなCTAのあらゆる要素をテスト・最適化できます:

  • テキストの内容(例:「今すぐ購入」vs「無料で始める」)
  • 設置場所(ページの上部、中間、最後など)
  • サイズ・色・形
  • ボタンのデザイン(角丸、影付きなど)

これらを複数パターン用意し、どの組み合わせが最もコンバージョンにつながるかをデータで判断できます。

CTAはたった一行の文言やひとつのボタンの話のようで、実は最終的な成果を大きく左右するクリティカルポイントなのです。

Social proof(社会的証明)のA/Bテスト

「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」とは、第三者からの推薦や評価によって、あなたのサービスや商品に対する信頼感を高める要素のことです。

具体的には:

  • 専門家やインフルエンサーからの推薦
  • 実際のユーザーからのレビュー・口コミ
  • メディア掲載実績
  • 受賞歴・バッジ・認証マーク
  • 顧客の声(テスティモニアル) など

これらがあることで、サイト上の主張に対して「本当に信頼できるのか?」という不安を払拭する効果があります。

A/Bテストで社会的証明の効果を見極める

A/Bテストを使えば、次のような問いに答えることができます:

  • 社会的証明を表示すること自体が効果的か?
  • どの種類のソーシャルプルーフが最も効果的か?
  • どこに、いくつ表示すれば一番効果があるか?

たとえば「レビューの位置を変える」「メディア掲載のロゴを入れるかどうか」「ユーザーボイスを写真付きにするか」など、さまざまなパターンをテストして最も信頼感と成果につながる構成を見つけましょう。

A/Bテストの種類とは?

これまでに、コンバージョン率を改善するためにどのページ要素をテストすべきかを学んできましたが、次はどのようなテスト手法があるのかについて見ていきましょう。

A/Bテストと一口に言っても、実は目的や技術的な条件によっていくつかの種類に分かれています。

一般的には以下の4種類が基本とされています:

  • A/Bテスト(基本的な比較テスト)
  • スプリットURLテスト(Split URL Testing)
  • 多変量テスト(Multivariate Testing)
  • 複数ページテスト(Multipage Testing)

スプリットURLテスト(Split URL Testing)

A/Bテストと混同されやすいこの手法ですが、実はまったく異なるアプローチです。

スプリットURLテストとは、まったく別のURLで構築された新しいバージョンのページを使って、元のページとどちらが成果を出すかを検証する方法です。

A/Bテストとの違い

比較項目 A/Bテスト スプリットURLテスト
主な変更範囲 フロントエンド(ボタン、コピーなど) ページ全体(構造やシステム)
テスト方法 同一URL内で要素を切り替えて表示 異なるURLを使用してトラフィックを分割
実装の難易度 比較的簡単 やや高度(開発やインフラの変更が必要)

 

スプリットURLテストが向いているケース

  • 抜本的なデザイン変更を試したいとき(例:構成やページ構造を大幅に変更)
  • ページ読み込み速度の最適化やバックエンドの仕組み変更(データベースの切り替えなど)を伴う場合
  • 現行ページには一切手を加えず、新しいバージョンとの明確な比較を行いたい場合
  • ワークフロー(購入導線など)を見直したいとき
  • 動的コンテンツが多く含まれるサイト(例:会員専用エリア、ログイン後の表示)など

多変量テスト(Multivariate Testing)

多変量テスト(MVT)とは、複数のページ要素に対して同時に異なるバリエーションを作成し、それらを組み合わせてテストする手法です。
A/Bテストよりも複雑で、高度なマーケティング戦略や開発・デザイン最適化を行いたい場合に適しています。

具体例で理解する多変量テスト
たとえば、あなたがランディングページの以下3つの要素について、2パターンずつテストしたいとします:

  • ヒーローイメージ(大きなトップ画像)
  • CTAボタンの色
  • 見出し(ヘッドライン)

この場合、可能なバリエーションの組み合わせ数は以下の通りです:

2(画像) × 2(ボタン色) × 2(見出し) = 計8通り

つまり、8つの異なる組み合わせが同時にテストされ、それぞれのパフォーマンスが比較されます。

組み合わせ数の計算式(公式)

要素Aのバリエーション数 × 要素Bのバリエーション数 × 要素Cのバリエーション数 = 総バリエーション数

この手法を使うことで、通常のA/Bテストのように何度もテストを繰り返さずに、まとめて効率よく結果を得ることが可能になります。

多変量テストのメリット

多変量テストには、以下のような利点があります:

  • 複数のA/Bテストを段階的に行う必要がなくなり、時間と手間を節約できる
     → 一度にまとめてテストを走らせることで、短期間で最適な組み合わせを見つけ出せます。
  • それぞれの要素(例:見出し、画像、ボタンなど)が成果にどう影響しているかを分析できる
     → 「この改善がどのくらい効果があったのか」を明確に測定可能。
  • 各要素の組み合わせによる相互作用を把握できる
     → たとえば「見出しA × ボタン色B」の組み合わせが特に高パフォーマンスだった、などの複合的な相関が明らかになります。

複数ページテスト(Multipage Testing)

複数ページテストとは、一連のページにわたって特定の要素を変更し、その影響を検証する実験手法です。
特にセールスファネル(購入導線)全体に対する改善を行いたい場合に効果的です。

Multipage Testingには、目的に応じて次の2種類があります:

① ファネル型複数ページテスト(Funnel Multipage Testing)

この方法では、セールスファネル全体の各ページに対して新しいバージョンを作成し、それを現行のファネル(コントロール)と比較してテストします。

たとえば:

LP → 商品紹介ページ → 購入ページ → サンクスページ

という一連の流れがある場合、それぞれのページにバリエーションを用意し、「一貫した改善版のファネル」として効果を測定します。

② クラシック複数ページテスト(Conventional Multipage Testing)

この方法では、複数ページに共通して登場する要素(例:セキュリティバッジ、レビュー、保証マークなど)を追加・削除・変更することで、全体の影響を測定します。

たとえば:

全ページに「5つ星レビュー」のバナーを追加する
全ページから「認証マーク」を外す

といったように、共通要素の有無がコンバージョンにどう影響するかを調べます。

複数ページテストのメリット

A/Bテストと同様、Multipage Testingは比較的簡単に実施でき、信頼性のあるデータを短期間で取得できるのが特徴です。

主な利点は以下の通りです:

  • ユーザーに一貫性のある体験を提供できる
     → 途中でデザインや雰囲気がバラつくことがなくなり、離脱を防げる
  • 一括変更による整合性のある検証が可能
     → たとえば「全ページに同じデザインパターンを適用する」ことで、ユーザーが混乱することなくファネルを進むことができる
  • ファネル全体の改善に向いている
     → 一部分だけではなく、サイト全体の「流れ」として改善できる

A/Bテストのやり方とは?

A/Bテストは、どの施策が効果的かを体系的に検証できる非常に優れたマーケティング手法です。
多くのマーケティング施策が「トラフィックを増やす」ことに集中しがちですが、実際にはサイトに訪れたユーザーがスムーズに目的を達成できるよう、体験そのものを最適化することが極めて重要です。

なぜなら、近年はアクセスを集めること自体が難しく、コストも高くなってきているからです。
だからこそ、今あるトラフィックを最大限に活かす=コンバージョン率の最適化(CRO)が、A/Bテストによって可能になります。

A/Bテストは「一度きり」ではなく「継続的な改善活動」

かつてはA/Bテストといえば「たまに思いついたらやるもの」というイメージでしたが、現在は違います。

マーケティングにおける収益性を最大化する手段として、継続的に実施されるべき活動へと進化しています。

そして、それを成功させるためには「なんとなく試してみる」のではなく、CRO(コンバージョン率最適化)のプロセスの一環として、しっかりと構造化された手順で行うことが大切です。

ステップ1:リサーチ(現状の把握)

A/Bテストを始める前に最初に行うべきことは、現在のウェブサイトがどのように機能しているかを徹底的に調査することです。

定量的なデータを収集する

まずは以下のような情報を収集します:

  • どのくらいのユーザーがサイトに訪れているか
  • 最もアクセスの多いページはどれか
  • 各ページのコンバージョン目標は何か(例:商品購入、資料請求、フォーム送信 など)

このとき活用できる定量データ分析ツールには、以下のようなものがあります:

  • Google Analytics
  • Mixpanel
  • Adobe Analytics(旧Omniture) など

これらを使うことで、

  • 最も訪問数が多いページ
  • 滞在時間が長いページ
  • 離脱率が高いページ

などが特定できます。

たとえば、「売上への影響が大きいページ」や「日々のアクセス数が多いページ」などからテスト対象を絞り込むとよいでしょう。

ステップ2:観察し、仮説を立てる

A/Bテストを効果的に進めるには、リサーチ結果に基づいて観察を記録し、それをもとに“データに裏付けされた仮説”を立てることが必要です。
これを怠ると、テストは“方角のないコンパス”のように目的を見失ってしまいます。

データを「集める」から「活かす」へ
前のステップで得られた定量・定性データは、単なる数値や行動記録にすぎません。
ここからは、あなた自身がそれらのデータを分析し、「どこに課題があり、どんな改善を行えば効果が出そうか」を観察→洞察→仮説化する必要があります。

たとえば:

  • 「フォームの途中で多くのユーザーが離脱している」→ 入力項目が多すぎるのでは?
  • 「トップページの滞在時間が短い」→ ファーストビューに必要な情報が載っていないのでは?

こういった観察結果から「○○を改善すれば、××が向上するはずだ」といった因果関係をもった仮説を構築しましょう。

良い仮説に必要な3つの評価軸

仮説を立てたら、次の観点からその妥当性を評価してみてください:

勝てる確率が高いと自信を持てるか?

ビジネスの大きな目標(例:売上、CVR)に影響を与えるか?

テストの実装は簡単か、それとも複雑か?

これにより、優先順位をつけて効率よくテストを実行することが可能になります。

ステップ3:バリエーション(テスト案)の作成

仮説が立てられたら、次はその仮説に基づいた「バリエーション(変更案)」を作成し、現行バージョン(コントロール)と比較テストを行うステップに入ります。

バリエーションとは、「現在のページの一部を変更した別バージョン」のことです。
A/Bテストでは、現行のページ(A)に対して、仮説に基づいて変更を加えたページ(B)を比較し、どちらがより良い結果を出すかを検証します。

もちろん、バリエーションは1つに限らず複数作って比較することも可能です。

例:フォームの改善を仮説にした場合

仮説:
「フォームの入力項目が多すぎて、ユーザーが途中で離脱しているのではないか」

この仮説に基づいて、以下のようなバリエーションを作ることができます:

バリエーション1:入力項目を減らした短いフォーム

バリエーション2:個人情報(電話番号や住所)を省略したフォーム

このように、「なぜ成果が出ていないのか?」という視点から改善策を反映し、ユーザー体験(UX)の観点で効果がありそうな変更を形にしていきましょう。

ステップ4:テストを実行する

いよいよA/Bテストを実際に「走らせる」段階です。
ただし、その前に大切な準備として、どのテスト手法・アプローチを使うかを明確にしておく必要があります。

テスト方法とアプローチを確定する

前述のとおり、A/Bテストにはいくつかの手法(例:Split URL、Multivariate、Multipage)があります。
自社サイトの構成やビジネス目標に応じて、最も効果的な手法・設計方法を選びましょう。

選定が済んだら、いよいよテストをスタート。
統計的に有意な結果が得られるまで、十分な期間テストを継続します。

テスト成功の鍵は「期間」と「精度」

テストを成功させるには、適切なタイミングと期間を見極めることが極めて重要です。
その際、以下のような数値をもとにテスト期間を計算しましょう:

  • 平均的な1日・1か月あたりの訪問者数
  • 現在のコンバージョン率
  • 期待する改善率(最低限の向上幅)
  • バリエーションの数(コントロール含む)
  • テストに含める訪問者の割合 など

たとえば「ほんの2〜3日だけで結論を出す」といった短期間のテストでは、十分な信頼性が得られず誤った判断につながるリスクがあります。

ステップ5:結果を分析し、改善を反映する

これがA/Bテストにおける最後のステップです。
ですが、単なる締めくくりではなく、ここでの分析がテスト全体の成果を左右する極めて重要なフェーズとなります。

テスト終了後は結果を多角的に評価

テスト期間が終了したら、次のような指標をもとに結果を詳細に分析しましょう:

  • コンバージョン率の増加率(%)
  • 統計的有意性(信頼度)
  • 主な指標への直接的な影響
  • 他の指標への間接的な影響(例:滞在時間、離脱率など)

成功したら「勝ちバージョン」を正式に反映

テストの結果、あるバリエーションが明確に高い成果を出した場合は、その「勝ちバージョン」を正式にウェブサイトへ適用しましょう。

たとえば:

  • ボタンの文言を変更しただけでクリック率が20%アップした
  • フォーム項目を削減して送信完了率が大幅に向上した

このような改善はすぐに反映し、ビジネス成果につなげることが大切です。

結果が出なかった場合でも“学び”はある

もしテストの結果が明確に差が出なかった場合や、統計的に判断が難しい結果になった場合でも、失敗ではありません。

その場合は:

  • どの仮説が不十分だったか
  • どの要素の影響が小さかったか
  • テスト設計に改善の余地があるか

などを分析し、次回以降のテスト設計に活かすことができます。

A/Bテストとは、単発で終わるものではなく、継続的に改善し続けるためのプロセスです。

A/Bテストに関するよくある質問(FAQ)

Q1. A/Bテストとは何ですか?
A/Bテストとは、ページ上の要素の2つのバリエーション(AパターンとBパターン)を比較し、どちらの方が効果的かを検証する方法です。
ユーザーの反応(クリック率・コンバージョン率など)を見て、どちらが成果につながるかを判断します。

Q2. デジタルマーケティングにおけるA/Bテストとは?
デジタルマーケティングにおけるA/Bテストとは、同じWebページの2つのバージョンを、異なるユーザーグループに同時に表示し、どちらがより良い成果(例:購入・登録など)を出すかを比較するテストです。
主にコンバージョン率の改善を目的として使われます。

Q3. なぜA/Bテストを行うのですか?
A/Bテストを行う理由はいくつかありますが、主な目的は以下の通りです:

  • 訪問者の離脱要因(ペインポイント)を見つけて解決するため
  • Webサイトのコンバージョンやリード数を増やすため
  • 直帰率(バウンスレート)を下げるため

Q4. A/Bテストと多変量テストの違いは何ですか?
A/Bテストは、ページ全体の異なるバージョン(AとB)を比較するシンプルなテスト方法です。
 例:ボタンの色を赤→緑にしたバージョンを比較する。

多変量テスト(MVT)は、1つのページ内の複数の要素(見出し、画像、ボタンなど)を組み合わせてテストし、どの組み合わせが最も効果的かを検証する方法です。

まとめ:KAJABIでも始められるA/Bテスト

本記事では、A/Bテストの基本から具体的なテスト項目、手法の種類、そして実行手順までを解説してきました。
A/Bテストは、勘や感覚ではなく実際のデータに基づいて成果を改善していくための強力な手法です。

そして今、KAJABIにもA/Bテスト機能が追加されました!

以前は外部ツールが必要だったA/Bテストも、現在のKAJABIでは以下の2つにおいて標準機能として対応しています:

対応しているA/Bテスト項目(2025年現在)

  1. ランディングページ(Landing Pages)
     → オファーへの申し込み率や登録率を上げるために、CTA文言・画像・構成などを比較できます。

  2. マーケティングメール(Email Campaigns)
     → 件名(Subject Line)や本文の内容・リンクの配置などを変えて、開封率やクリック率を最適化できます。

例えばこんな活用ができます:

  • 無料オファーLPで「今すぐ登録」と「まずは資料を確認」の2パターンをテストし、どちらが登録につながるかを検証
  • メルマガ件名で「割引あり!」と「あと◯日で終了」の反応を比べ、クリック率が高い方を採用

KAJABI内で完結できるため、面倒な外部連携なしに、初心者でもすぐにテストを開始できるのが魅力です。

結論:今すぐKAJABIで、小さな改善から始めよう

A/Bテストは一見むずかしそうに見えますが、最初の一歩は「小さな違いを比べてみる」ことからでOKです。
KAJABIなら、特別な開発スキルがなくても本格的な改善サイクルを回していけるので、あなたのビジネス成長に直結するはずです。

今後、コースページやオファー画面など、さらにA/Bテスト対象が広がる可能性もあります。
今のうちに「テストの考え方」や「効果的な仮説の立て方」を身につけておきましょう!

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